日枝氏の影響力は、自社の経営にとどまらず放送業界全体へと広がりを見せた。日本民間放送連盟(民放連)の会長などの要職を歴任し、デジタル放送への移行や電波行政を巡る政府との交渉において、民放各社の意見を取りまとめるキーマンとして奔走した。
政財界との太いパイプを活かしたネゴシエーション能力は高く評価される一方で、地上波テレビの既存権益を守りすぎたのではないかという批判的な視点も存在する。しかし、急速に変化する社会構造の中で民放各社が安定した収益モデルを維持できた背景には、彼の強烈な政治力と業界内でのリーダーシップが存在していたことは紛れもない事実だ。