高橋一生が生まれ育った環境は、過酷という言葉だけでは括りきれないものだった。母親は生涯で3度の結婚と離婚を経験しており、高橋のもとには父親の異なる4人の弟がいる。歳の離れた弟たちにとって、高橋は単なる長男ではなく、時に父親代わりとして家計や生活を支える絶対的な存在だった。
幼い弟たちのオムツを替え、限られた生活費の中で弟たちに家計簿をつけさせるなど、十代にして一家の大黒柱としての重責を背負った。母親の気性が激しく、事業の浮沈や頻繁な引っ越しを繰り返す波乱の日常の中で、彼は感情を静かに押し殺す術を身につけていく。この時期に培われた圧倒的な忍耐力と人間観察眼が、後の演技者としての基盤となった。