二枚屋王悦という男の強さを語るうえで、まず直視すべきは死神の根本を創り上げた「創造主」としての特異性です。尸魂界(ソウル・ソサエティ)に存在するすべての斬魄刀は、彼が打った名もなき刀「浅打(あさうち)」から始まります。本殿である「鳳凰殿」の底で無数の浅打に囲まれて暮らす王悦は、死神一人ひとりが持つ魂の形、刀の性質、そして弱点に至るまですべてを掌握しています。この「すべての斬魄刀の出自を知る」という事実こそ、王悦が「刀神」と称される所以です。
その実力が最も暴力的な形で示されたのが、霊王宮へ侵入した滅却師(クインシー)の最高戦力、親衛隊との直接対決でした。ジェラルド・ヴァルキリー、ペルニダ・パルンカジャス、リジェ・バロ、そしてアスキン・ナックルヴァール。護廷十三隊の隊長格すら手も足も出ない怪物たちを前に、王悦は構えすら取らず、たった一振りの抜き身の刀で間合いを詰めました。
「一の太刀で事足りる」という冷徹な宣言通り、リジェの銃撃を首をわずかに傾けて躱すと同時に喉元を両断。続くジェラルドの巨躯を一刀両断し、ペルニダの肉塊を真っ二つに裂くなど、わずか数秒で親衛隊の主力を全滅へと追い込みました。大技の霊圧放出や派手な鬼道に頼らず、純粋なステップワーク、間合いの把握、そして研ぎ澄まされた刃筋だけで敵の急所を断つ戦闘スタイルは、作中でも屈指の洗練度を誇ります。普段のハイテンションなノリを完全に消し去り、殺し屋の冷徹な眼光へと切り替わる二面性も、彼の強烈なカリスマを支える要素となっています。