本作には2つの象徴的な敵対関係が存在します。物語の真の黒幕であるプロスペクター(スティンキー・ピート)と、バズ・ライトイヤーの宿敵である悪の帝王ザーグです。
プロスペクターは、子どもに一度も遊ばれたことがない劣等感と、冷遇された過去から歪んだ価値観を形成していました。「子どもはいずれ大人になり、おもちゃを捨てるか壊す。だが博物館のガラスケースの中に入れば、永遠に美しいまま保管され愛される」という彼独自の生存戦略は、ウッディが選んだ「いつか捨てられるとしても、子どものそばで生きる」という哲学と決定的に対立します。
ウッディの脱出を阻止するため本性を現したプロスペクターは、空港の手荷物仕分け場での死闘の末、ウッディたちによって「バービー人形の顔に派手なメイク(落書き)を施すのが大好きな少女エイミー」のリュックサックへと放り込まれます。箱の中で完璧な美しさを保つことに執着した男が、最も恐れていた「乱暴な子どもにペイントされて遊び倒される」という運命を背負わされるこのラストは、ピクサー流の痛烈なアイロニーに満ちた因果応報の結末でした。
一方、トイ・バーンの売場からバズを追跡してきた悪の帝王ザーグは、映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』を完璧にオマージュしたエレベーターシャフトでの対決を展開します。ニュー・アクション・ベルトを装着したバズに対して言い放った「お前の父親を倒したのは私ではない、私がお前の父親だ!」という衝撃の告白は、劇場公開時に映画館を爆笑の渦に巻き込みました。落下したザーグは生き残り、最終的には「新しいバズ」とキャッチボールをして親子関係を修復するという、プロスペクターとは対照的なユーモラスな救済を迎えています。