1969年10月から1970年8月にかけてTBS系列で放送された『サインはV』は、まさに時代が生み出したモンスター番組でした。最高視聴率は1970年4月12日放送分で39.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)という驚異的な数値を叩き出し、当時の日曜夜7時半はお茶の間から人が消えると言われたほどです。
1964年の東京五輪で金メダルを獲得した全日本女子バレーボールチーム「東洋の魔女」の記憶が生々しく残る日本において、バレーボールは単なる球技を超えた国民的アイデンティティとなっていました。その熱狂をドラマとして見事に昇華させたのが本作です。麻里圭子、横田年昭とリオ・アルマが歌った主題歌「サインはV」(岩谷時子作詞・三沢郷作曲)のキャッチーなメロディは、全国の小中学校の校庭や路地裏で合唱されるほどのブームを巻き起こしました。
岡田可愛が演じた主人公・朝丘ユミは、バレーの練習中に非業の死を遂げた姉の影を背負い、激しい葛藤と絶望の底から這い上がる少女でした。単なる爽やかさだけでなく、人間のドロドロとした情念や敗北の悔しさをむき出しにしてコートに倒れ込むその姿は、高度経済成長期をがむしゃらに生きる当時の日本人の心情と完全に共鳴していたのです。