つるの先端をプチリと指先で摘み取る。ただそれだけの行為が、なぜ株全体の運命を左右するのか。理由は植物ホルモンの動態にある。スイカの親づる(主茎)先端ではオーキシンと呼ばれる成長ホルモンが絶えず生成され、下位の側芽(わき芽)の伸長を強力に抑制している。これが頂芽優勢だ。
親づるの生長点を切り落とすと、オーキシンのブレーキが外れ、サイトカイニンの働きによって元気な「子づる」が一斉に芽吹く。NHK 趣味の園芸の現場解説でも頻繁に強調されるように、スイカは親づるよりも子づる、あるいは孫づるに充実した雌花を咲かせる性質が強い。放任して親づるを野放図に伸ばすと、株の根元付近の風通しが悪化して病害虫の温床になるばかりか、雌花の着生位置が乱れ、結果としてまともな収穫が得られなくなる。
整枝栽培の目的は明快だ。無駄な葉や茎への養分浪費をシャットアウトし、狙った位置に最良の果実を結実させること。摘心はその最初の引き金となる。