当時、映画産業の黄金期を支えていた東宝株式会社の看板スター・高島忠夫と、宝塚歌劇団の伝説的な男役トップスターとして一世を風靡した寿美花代。二人はまさに、時代の寵児であった。
高島は『キングコング対ゴジラ』をはじめとする大ヒット作でスクリーンを席巻し、寿美はその気品と華やかさで圧倒的な支持を集めていた。誰もが憧れる理想の夫婦。だが、その幸福の絶頂で最愛の我が子・高島道夫を奪われた夫婦の苦悩は、想像を絶するものだった。
我が子を守れなかったという自責の念、容赦なく押し寄せる報道陣のカメラ。寿美花代は後年、当時の狂おしいほどの悲嘆を振り返り、何度も命を絶とうと考えたこと、そして夫・高島忠夫の支えだけが暗闇の中で唯一の光だったと明かしている。