長年、高齢者の性や生身の欲求は「存在しないもの」として扱われるか、あるいは偏見の目に晒されてきた。この根深いタブーに風穴を開けたのが、社会学者の上野千鶴子氏らの言説だ。上野氏は著書や論考を通じて、高齢になっても人は一人の身体的・精神的存在であり続けることを一貫して主張してきた。
こうした視点の広がりは出版・メディア業界にも波及している。かつては週刊誌のゴシップ的な文脈で語られがちだったテーマが、今や生き方や人権、ジェンダーの視点から掘り下げられるようになった。シニア世代が自らの欲求や孤独と向き合う姿を正面から描くムック本や論考が、大きな反響を呼んでいる。