事件の舞台となったのは、不夜城・歌舞伎町の一等地に店を構えるホストクラブだ。かつては豪快な飲み方や豪華な演出が一種のステータスとされてきたが、ここ数年の競争激化がその基準を際限なく狂わせている。
「普通のタワーじゃもう客もSNSも驚かない。誰よりも目立ち、誰よりもバズる絵面を作らなければ、億単位の売上争いから脱落する」
歌舞伎町で10年以上現場を見続けてきた現役幹部は、声を潜めてそう語った。売掛金規制や入店管理が厳格化された結果、富裕層や熱狂的な太客を繋ぎ止めるためのパフォーマンスは日増しにエスカレートしていったという。人間を土台に見立てる危険極まりない試みも、密室の熱狂とアルコールの作用によって、現場では「究極のエンターテインメント」として正当化されてしまったのだ。