新田たつお氏による大人気漫画を原作とする本作において、最大の成功要因となったのは紛れもなく中山秀征さんの近藤静也役としての抜群の存在感でした。下着会社「プリティ」で女性用ランジェリーのデザインに頭を悩ませ、同僚や上司にペコペコと頭を下げる昼の顔。一方で、敵対組織との抗争やシリアスな局面で見せる、ドスの利いた低音ボイスと鋭い眼光の夜の顔。この落差を巧みなテンポと身体表現で描き分けた演技力は、当時のテレビ界に大きな衝撃を与えました。
当時、バラエティ番組の司会やコントで国民的な親しみやすさを確立していたヒデちゃんが、突如として見せた本格的な任侠アクションとシリアスな演技。そのコントラストは原作ファンをも唸らせ、中山秀征の代表作といえば『静かなるドン』と誰もが即答するほどの代名詞となりました。劇中で見せる銃撃戦や組員への檄(げき)を飛ばすシーンは、爽快感と哀愁が同居しており、単なるコメディドラマに留まらない人間ドラマの深みを獲得していました。