東京におけるミュージックバー文化の隆盛を語るうえで、クリエイターたちの存在は欠かせない。音楽プロデューサーの小林武史が手掛けた音響空間や、異彩を放つアーティスト伊藤桂司のグラフィック美学など、90年代から2000年代にかけて東京のカルチャーシーンを彩った感性は、現在もこの街の夜の文脈に息づいている。
BAR MARTHAが体現しているのは、単に「音楽がかかっているバー」ではない。音と言葉、グラフィック、インテリア、そして酒が一体となった総合的な空間芸術だ。アートと音楽が高次元で交差する空間づくりは、国内外の感度が高いクリエイターやコレクターたちを惹きつけて止まない。カルチャーの深みを知る大人たちが集い、語らずとも互いの美意識を共有できる場所。それが恵比寿の地で長年愛される理由だ。