カメラの裏側では、人間の役者以上のドラマが繰り広げられている。現場において、柴犬は決して人間の指示通りに動くわけではない。ドッグトレーナーとの緊密な連携のもと、カットがかかった瞬間にあくびをしたり、本番中に突如として明後日の方向へ走り出したりすることは日常茶飯事だ。
現場の関係者によれば、カメラが回っている最中に柴犬が見せる予想外の行動こそが、作品に生命感を吹き込むという。渋川清彦や佐藤二朗をはじめとする共演陣も、NGを出すどころかその「予期せぬアドリブ」を拾い上げ、物語に組み込んでいった。綿密な計算と奇跡的な偶然が交錯する撮影現場の空気感こそが、画面越しに伝わる温もりの源泉なのだ。