英語学習のネットコミュニティや質問サイトで頻繁に見受けられるのが、「私は祖父母に育てられた」を直訳しようとして「I was grown by my grandparents.」と英訳してしまうミスです。結論から申し上げますと、この英文はネイティブスピーカーにとって極めて不自然であり、文法的な誤りとなります。
この混乱の原因は、grow自動詞と他動詞の違いに対する根本的な誤解にあります。
動詞growには、以下の明確な役割分担があります。
- 自動詞のgrow:「(生物・組織などが)自ら育つ、成長する、大きくなる」
- 他動詞のgrow:「(植物・農作物・ヒゲなどを)栽培する、生やす」
つまり、英語のgrowを他動詞として使う場合、その目的語にできるのは原則として「植物・農作物(rice, vegetables, flowers)」や「毛髪・ヒゲ(beard)」などに限られます。他動詞のgrowに「人間(子ども)を育てる・養育する」という意味はありません。
受動態「be grown」は他動詞の構文からしか作れません。したがって、「I was grown...」と書いてしまうと、「私は祖父母によって温室か畑で作物のように栽培された」という奇妙な響きを与えてしまうのです。
人間を主語にして「〜に育てられた」と言いたい場合は、人間を育てる意味を持つ他動詞「raise」または句動詞「bring up」の過去分詞を使わなければなりません。
- ❌ 誤り:He was grown by his aunt.
- ⭕ 正しい:He was raised by his aunt.
- ⭕ 正しい:He was brought up by his aunt.
一方で、自動詞として「彼は東京で育った(成長した)」と自発的なプロセスを述べるのであれば、句動詞「grow up」の過去形を用いて「He grew up in Tokyo.」と表現するのが正解です。この「grow up(自立的に成長する)」と「be raised(養育される)」の決定的な違いは、試験だけでなく実際の英会話でも恥をかかないための必須防衛ラインと言えます。