バブル崩壊直後の1992年6月25日にリリースされた『三都物語』は、JR西日本が社運を賭けて展開した大型デスティネーション・キャンペーンのテーマ曲として世に送り出されました。当時、首都圏から関西圏への誘客を促すにあたり、古都・京都、商都・大阪、港町・神戸という性格の異なる3つの大都市を「三都(さんと)」と総称して周遊させるコンセプトは、旅行業界において極めて斬新な試みでした。
谷村新司さんは当時、アリス時代からソロ活動を通じて数々の旅情歌を紡いできた第一人者。国鉄時代の1978年に山口百恵さんへ提供した『いい日旅立ち』のメガヒット実績もあり、JR西日本側からの期待は極めて高いものでした。単なる商業CMタイアップの枠組みを超え、日本の原風景と近代的な都市の情緒を同時に描き切る力量が求められたプロジェクトでした。