最も深刻なトラブルが発生しやすいのが、高齢の親が暮らす実家の固定電話を解約した場合です。離れて暮らす子ども世代が「親もスマホを持っているから」と良かれと思って解約を進めた結果、親の生活リズムや安全網が崩れてしまう事例が多発しています。
まず挙げられるのが、110番や119番といった緊急通報時の位置情報把握です。固定電話からの発信であれば、通報者がパニックになって正確な住所を言えなくても、警察や消防の発信地表示システムによって即座に設置場所が特定されます。一方、スマートフォンからの通報はGPS情報に依存するため、電波状況や建物の構造によっては位置情報の誤差が生じるリスクが残ります。
さらに見逃せないのが、高齢者の操作性です。画面タップに不慣れなシニア層にとって、受話器を上げてボタンを押すだけの固定電話は、非常時における唯一の命綱となり得ます。また、長年利用してきた「03」や「06」などの市外局番が変わることで、古い知人や親戚からの連絡が途絶え、地域での孤立を招いてしまう精神的デメリットも軽視できません。