彼女の肉体が滅びてなお、その芸術的価値は色褪せるどころか増すばかりだ。NHKオンデマンドやNHKのアーカイブ映像に記録された当時の鬼気迫る歌唱パフォーマンスは、昭和を知らない若い世代にも衝撃を与え続けている。虚飾を剥ぎ取った冷たい情念の響きは、デジタルな音作りに慣れた現代人の耳に、強烈な生のリアリズムを突きつける。
現在、Spotifyをはじめとする音楽ストリーミングサービスでは、世界中のリスナーが藤圭子の楽曲を聴き直し、昭和のダークサイドを象徴する唯一無二の歌声として絶賛している。昭和のレコード盤から現代のプレイリストへ。時代やフォーマットが変わろうとも、彼女が絞り出した魂の音色は、国境や世代の壁を軽々と飛び越えて響き渡る。