長野県伊那市という同郷の地で育ち、東京藝術大学へと進んだ常田大希と井口理。この二人の邂逅こそが、バンドの心臓部である。チェロ専攻としてクラシックの精緻な構築論を叩き込まれ、のちにストリートカルチャーの濁流へ身を投じた常田。対して声楽科でテノールを専攻し、圧倒的な声量と抒情的な表現力を磨いた井口。この対照的な資質が、唯一無二のツインボーカルという形で結実した。
常田の低く濁った、吐息交じりのアジテーション。そこに重なる井口の、天空を切り裂くような美しく澄んだハイトーン。静と動、聖と俗、狂気と気品。背反する要素がひとつの楽曲の中でせめぎ合い、聴き手を異世界へと引きずり込む。単なる役割分担ではない。二人の声が交錯する瞬間に生まれるカタルシスは、緻密に計算された美学と長年の信頼関係がなければ決して生み出せない領域だ。