お米の鮮度を語る際、日常会話では漠然と「古いお米」と一括りにされがちですが、米穀業界や農林水産省の基準において、その定義は厳格に分かれています。「米穀年度」は収穫年の11月1日から翌年10月31日までを1年とし、当年産を「新米」、前年産を「古米」、前々年産を「古古米」、さらにそれ以前に収穫されたものを「古古古米(3年以上経過米)」と呼びます。
収穫から年月が経過するにつれて、米粒の内部では2つの決定的な劣化現象が進行します。1つ目は「水分含有率の低下」です。新米時に約14.5〜15.0%前後あった水分は、保管環境によって11〜12%台まで減少します。細胞壁がカチカチに硬化するため、通常の給水スピードでは中心部まで水が浸透せず、炊き上がりに芯が残りやすくなります。
2つ目は「遊離脂肪酸の酸化」です。精米された白米の表面に残るわずかな脂質が空気中の酸素に触れ、分解されて「ヘキサナール」や「ペンタナール」と呼ばれる揮発性アルデヒドを生成します。これこそが、古古米特有の油が古びたような、いわゆる「古米臭」の正体です。この2つの物理的・化学的変化を理解することが、適切なリカバリーを行う第一歩となります。