怪演俳優・佐藤二朗の狂気と愛嬌、なぜ日本中が彼に熱狂するのか

怪演俳優・佐藤二朗の狂気と愛嬌、なぜ日本中が彼に熱狂するのか

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だが、喜劇俳優としての顔は、彼の広大な表現世界の半面に過ぎない。彼が主宰する「劇団ちからわざ」で長年紡いできたのは、人間の業や欲望、目を背けたくなるような暗部を生々しく抉り出す骨太な演劇だった。

その執念が結実したのが、自ら原作・脚本・監督・出演を務めた映画『はるヲうるひと』だ。架空の島の売春宿を舞台に、閉塞感と暴力、そしてかすかな救済を描いた同作は、国内外の映画祭で絶賛を浴びた。画面越しに観客を圧倒する重厚な筆致と、自らの身を削るような鬼気迫る演技。佐藤二朗という表現者が抱えるマグマのような作家性は、日本映画界に鮮烈な爪痕を残したのである。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。