ネット上の掲示板やSNSでは、「小2算数の理不尽な減点」に対する告発や体験談が定期的に拡散されます。「計算の工夫を凝らした子どもが意欲を削がれた」「交換法則を知っている進度の早い児童ほどバツを食らい、自信を喪失している」といった、子どもの心理的ダメージを懸念する声が圧倒的多数を占めています。
しかし、当事者である現場の小学校教員を取材すると、単純な頭の固さだけでは片付けられない葛藤が見えてきます。公立小学校で2年生を受け持つ教員は、重い口を開いて実情を語りました。
「文章題に出てくる2つの数字を、意味も分からず適当に掛け合わせて正解にしてしまうと、小学校3年生以降の『割り算』、さらには高学年の『割合』や『速さ』で壊滅的につまずきます。『何を何倍にするのか』という基準量を把握させる訓練として、小2の乗法導入期だけは順序を意識させざるを得ないのです」
現場教員も決して悪意を持ってバツを付けているわけではありません。文章を深く読まずに反射で計算する悪癖を是正したいという危機感があるのです。とはいえ、「バツを付けて×と突き返す」指導手法が、知的好奇心に燃える子どもたちに「理不尽な大人のルール」として映り、算数嫌いを生むトリガーになっている現実は否定できません。