関東や東北、甲信越地方では日常的に親しまれているすあまですが、関西をはじめとする西日本では和菓子店やスーパーに並ぶことがほとんどありません。関東出身者が関西に移住して「すあまがどこにも売っていない」とカルチャーショックを受けるケースは定番の話題です。
なぜすあまは西日本に広がらなかったのか、そこには日本の東西における米文化と和菓子文化の差異が深く関係しています。
第一に、西日本には古くから「ういろう」「外郎餅(ういろうもち)」「生八ッ橋」「阿闍梨餅」など、米粉や小麦粉、葛粉を使った蒸し菓子・餅菓子の強力なバリエーションが既に確立されていました。地元に根付いた銘菓の層が厚かったため、江戸発祥の後発菓子であるすあまが参入する余地が少なかったと分析されています。
第二に、原料となる「米」の使い分けです。東日本は「うるち米(上新粉・みたらし団子・草餅など)」を使った歯切れのよい餅菓子を好む文化が強い一方、西日本は「もち米(餅粉・白玉粉・求肥など)」を使った伸びやかで柔らかい食感を好む傾向があります。こうした食味の嗜好性の違いも、すあまが関東ローカルにとどまった大きな要因といえます。