アヴァンギャルドの極北に位置するハイブランド、メゾン・マルジェラ(Maison Margiela)との協業でも、ナディア・リー・コーエンは妥協なきヴィジョンを貫いた。ジョン・ガリアーノの退廃的なクチュール世界と彼女のシネマティックな視線が交差したヴィジュアルは、モード界の固定観念を根底から揺さぶる出来事となった。
さらに彼女の表現領域は、NetflixやHBOといった大手ストリーミングプラットフォームへも急拡大している。長編ドラマシリーズのキービジュアル開発からエピソード監督の打診に至るまで、オファーは引きも切らない。ダークなユーモアと洗練された絵作りを両立できる稀有なストーリーテラーとして、スクリーンの枠組みそのものを拡張し続けている。