貴景勝の父である佐藤一哉氏は、関西圏を中心に事業を展開してきた実業家・会社経営の顔を持つ。兵庫県西宮市や芦屋市を拠点に、保育事業や介護関連ビジネス、さらには飲食関連など複数の事業を手がけてきた敏腕経営者として知られている。
一哉氏のビジネススタイルは極めて合理的かつ情熱的だ。市場のニーズを冷静に分析しながら、勝機のある分野に果敢に投資する。その経営手腕は、息子の相撲人生をプロデュースする過程にも色濃く反映されていた。感覚や精神論だけに頼るのではなく、目標から逆算して必要な環境を資本力と行動力で用意する。彼にとって息子の育成は、経営者としての信念を懸けた一大プロジェクトでもあった。
実業家として多忙を極める傍ら、一哉氏は息子の稽古に毎日何時間も付き添った。自らの仕事を効率化して時間を作り出し、指導現場に立ち続ける。口先だけでなく自ら汗を流すその姿勢こそが、若き日の貴景勝にプロとしての覚悟を植え付ける土台となった。