義勇のトレードマークである左右で柄が異なる「半々羽織」には、彼の魂を縛り付けていた悲劇の記憶が刻まれています。右半分は鬼から身代わりとなって守ってくれた実の姉・蔦子(つたこ)の形見、左半分は親友・錆兎(さびと)の形見です。
幼少期に姉を祝言の前夜に鬼に殺され、肉親を失った義勇は、育手である鱗滝左近次のもとで同い年の錆兎と出会いました。境遇の似た二人は無二の親友となり、切磋琢磨して最終選別に挑みます。しかし、藤襲山で圧倒的な力を振るった錆兎がほぼすべての鬼を一人で討伐し、手鬼の犠牲となって命を落とした一方、義勇は最初に負傷して気を失ったまま選別を突破してしまいました。
「鬼を一体も倒せず、錆兎に生かされただけの自分は鬼殺隊にいる資格すらない」。この強烈な生存者罪悪感(サバイバーズ・ギルト)こそが、彼が他の柱と距離を置き、「俺はお前たちとは違う」と言い放って孤立を選んでいた真の理由でした。