日輪刀の最大の特徴は、刀を手にした剣士の資質に応じて刃の色が瞬時に塗り変わる点にあります。この現象から別名「色変わりの刀」とも称されますが、どのような科学的・超常的メカニズムによって変色が生じるのでしょうか。
その秘密は、刀の原料となる特殊な素材にあります。日輪刀は、一年を通じて陽の光を浴び続ける標高の高い山「陽光山」でのみ産出される「猩々緋砂鉄(しょうじょうひさてつ)」と「猩々緋鉱石(しょうじょうひこうせき)」を用いて打たれます。日光のエネルギーを分子レベルで蓄積・保持する性質を持つため、極限まで練磨された剣士の「全集中の呼吸」や身体エネルギー(気)に反応し、刀身の金属組成が励起されて固有の色彩を呈するのです。
呼吸の流派と刀身の色彩には、明確な対応関係が存在します。剣術の始祖が体系化した基本の5大流派(水・炎・風・岩・雷)と、そこから個々人の骨格や特性に合わせて派生した呼吸ごとに、現れる色は厳密に分類されています。
【日輪刀の色と呼吸の基本対応関係】
・青色(水):水の呼吸(冨岡義勇、鱗滝左近次など)。柔軟かつ流麗な剣筋を象徴。
・赤色(炎):炎の呼吸(煉獄杏寿郎など)。立ち上る業火のような情熱と威力を宿す。
・緑色(風):風の呼吸(不死川実弥)。暴風のような激しさと鋭利な斬撃を示す。
・灰色(岩):岩の呼吸(悲鳴嶼行冥)。大地の如き屈強な堅牢さと重みを持つ。
・黄色(雷):雷の呼吸(我妻善逸など)。稲妻の如き瞬発力と電撃的な速度を体現。
・白色(霞):霞の呼吸(時透無一郎)。捉えどころのない霧や霞を表現。
・薄桃色(花):花の呼吸(栗花落カナヲ、胡蝶カナエ)。優美かつ的確な太刀筋。
・藍鼠色(獣):獣の呼吸(嘴平伊之助)。野生の直感と荒々しい二刀流の気迫。
・桜餅色(恋):恋の呼吸(甘露寺蜜璃)。特異体質の筋力と柔軟性を生かした変幻自在の剣。
・紫色(蛇):蛇の呼吸(伊黒小芭内)。縫うようにうねる蛇の軌道を再現。
なお、隊士が刀を抜いても「日輪刀が変色しない理由」についても作中で言及されています。刀の色を変えるには、呼吸の基礎を一定水準以上に体得していることが絶対条件となります。鍛錬が不十分で全集中の基礎ができていない一般隊士や、身体に呼吸の気が通っていない者が抜刀しても、刀身は鋼本来の鈍い銀色のまま変化しません。つまり、刀が鮮やかに染まること自体が、一人前の鬼殺隊剣士として足を踏み入れた証拠でもあるのです。