戦いの局面を大きく動かしたのは、炭治郎が体得した「透き通る世界」と闘気を完全に消し去る「無我の境地」でした。羅針を無効化された猗窩座は炭治郎の刃によって頸を落とされます。しかし、強さへの凄まじい執念から、猗窩座の肉体は弱点であるはずの頭部を再生させ始めます。
鬼の限界を超えた異形へと進化しかけた猗窩座を止めたのは、炭治郎の渾身の拳(素手の一撃)と、失われていた人間時代の記憶でした。猗窩座の人間時代の本名は「狛治(はくじ)」。病弱だった父、武術の師匠である慶蔵、そして心から愛した婚約者の恋雪(こゆき)を守れなかった無力感と絶望が、彼を「強さ」への妄執へと駆り立てていた元凶でした。
精神世界に現れた恋雪の「狛治さん、ありがとう もう十分です」という呼びかけと父や師匠の言葉によって我を取り戻した猗窩座は、自分が本当に殺したかったのは弱者をいたぶる者たちではなく「大切な人を何一つ守れなかった自分自身」であったと悟ります。最期は自らに向けて最強の技「破壊殺・滅式」を放ち、炭治郎たちへの感謝と謝罪を胸に抱きながら自害の道を選びました。