時透無一郎との戦いは、単なる強さの競い合いにとどまらない深いテーマ性を孕んでいた。記憶を失い、自らの存在理由を模索していた無一郎に対し、過去の狂気にとらわれ、うぬぼれた美意識に固執し続けた上弦の伍。両者は「過去との向き合い方」において完全な対極として描かれている。
無一郎が仲間との絆や過去の記憶を取り戻すことで覚醒し、「あざ」を発現させて圧倒的な勝利を収めたのに対し、自己愛の塊であった鬼は最後まで相手を理解しようとせず、自身の美学が崩れ去る恐怖の中で消滅した。この鮮烈なコントラストが、戦闘シーンに深いエモーショナルな余韻を与えている。