花田優一氏の歩みを語る上で避けて通れないのが、本業である靴職人としての実態と工房トラブルです。15歳で米国シアトルへ単身留学した後、イタリア・フィレンツェに渡り約3年間の靴修行を経て帰国。20代前半の若さで都内に工房を構え、「完全ハンドメイドのオーダー靴職人」として脚光を浴びました。
しかし、2018年秋頃から週刊誌を中心に「注文した靴が一向に届かない」「連絡がつかず返金を求めても応じてもらえない」といった顧客からのクレームが噴出します。1足あたり15万〜20万円前後という高額な受注価格であったこと、さらに納期が当初の告知から1年以上遅延する事例が相次いだことで、批判は一気に過熱しました。
なぜこのような事態に陥ったのか。最大の要因は「物理的な制作キャパシティの限界」と「芸能マネジメントとの齟齬」にありました。本来、木型(ラスト)の削り出しから革の裁断、手縫いによる底付けまでを1人で行うフルハンドメイドのビスポークシューズは、熟練職人であっても年間20〜30足を仕上げるのが限界とされます。しかし、テレビ出演の急増に伴って数年分に及ぶ注文が殺到し、工房での作業時間が著しく圧迫された結果、納期の破綻を招く構造的欠陥が生じてしまったのです。