昭和18年、激化する太平洋戦争の渦中、武良茂青年は大日本帝国陸軍のラバウル要員として出征を言い渡された。行き先は、激戦地として知られる南太平洋のニューブリテン島。ラバウル戦線の地獄は、彼が想像していたものを遙かに超えていた。
敵機の急襲を受け、爆風によって左腕を砕かれた瞬間、彼の人生は暗転する。麻酔もない劣悪な野戦病院で腕を切断され、高熱と感染症にうなされながらも、彼は生き残った。生き延びた彼を救ったのは、軍の規律ではなく、現地の人々(トライ族)とのあたたかな交流だった。軍医や上官の目を盗んでは集落へ通い、芋を食い、笑い合った時間。生と死が背中合わせの極限状態で、彼は人間の本質と生きる強かさを身をもって知ることになる。