時計の針を2007年10月11日、東京・有明コロシアムへと戻します。開催されたボクシング WBC世界フライ級タイトルマッチは、TBS系列で生中継され、関東地区の平均視聴率28.0%、瞬間最高視聴率は実に43.1%を記録する国民的イベントとなりました。
この亀田大毅と内藤大助の試合結果は、王者・内藤大助選手が的確なジャブとアウトボクシングで主導権を握り続け、3-0(117-107、117-107、116-108)の大差判定勝ちを収めました。しかし、人々の記憶に刻まれたのはスコアではなく、終盤に繰り広げられた悪夢のような光景でした。
大毅選手はキャリア初の劣勢に焦りを募らせ、バッティングやローブローを連発。そして最終12ラウンド、クリンチの状態から内藤選手の体を両手で抱え上げ、プロレス技さながらにマットへ叩きつける「抱え投げ」を敢行しました。亀田大毅の内藤戦における反則の理由について、後に本人は自著やインタビューで「目の前が真っ暗になり、負けたら切腹という極限の恐怖とプレッシャーで完全にパニックに陥っていた」と吐露しています。18歳の少年に背負わされた過剰な興行の重圧が、理性を完全に崩壊させた瞬間でした。