全国に数多ある城郭の中でも、江戸時代からそのままの姿を残す現存天守はわずか12基しか存在しない。その中でも彦根城は、姫路城や松本城などと並び、文化庁から最高峰の文化財価値を認められた国宝現存天守の一つに数えられる。
彦根城天守の外観を特徴づけているのは、多彩な「破風(はふ)」の意匠だ。切妻破風(きりづまはふ)や入母屋破風(いりもやはふ)、唐破風(からはふ)が巧みに組み合わされ、見る角度によって全く異なる表情を見せる。軍事的な威圧感と美術的な優美さを極限まで高めたデザインは、まさに木造建築の傑作と言えるだろう。
写真撮影を楽しむ旅行者にとって、最高のロケーションも存在する。城の北側に位置する名園「玄宮園(げんきゅうえん)」の池越しに仰ぎ守る天守は、水面に映る姿も含めて絵画のような美しさだ。天守最上階の窓からは、雄大な琵琶湖と湖東の街並みが一望でき、風が吹き抜ける空間で大名気分を味わうことができる。