物語に登場する恩地のライバル・行天四郎や、政界の黒幕たちの描写もまた、極めてリアルだ。行天のモデルと目される人物は、かつて小倉と共に組合活動をしながらも、途中で会社側に寝返り、出世の階段を駆け上がっていった実在の幹部たちだと言われている。
さらに、再建のために送り込まれた会長・国分(モデルは伊藤淳二・カネボウ元会長)や、時の首相(モデルは中曽根康弘)など、昭和の政財界の巨頭たちが実名に近い形で交錯する。そこにあったのは、国家予算と巨大利権をめぐるドロドロとした癒着だ。正義を貫く者が排除され、会社に都合の良いイエスマンだけが生き残るシステムは、この時代に完成したと言っても過言ではない。