一般的に語られる「新国立競技場のキャパ8万人」という言説には、明確な構造的背景が存在します。日本スポーツ振興センター(JSC)の公式設計データによると、スタジアムの常設観覧席数は約68,000席(車いす席を含む)に設定されています。2019年末の完成当初から、基本となるスタンド座席の器自体は6万8,000人規模として固定されているのが実態です。
では、なぜメディアやプロモーションにおいて「最大8万人」という数字が踊るのでしょうか。その鍵を握るのが、中央の天然芝ピッチおよび陸上トラックエリアを活用する国立競技場のアリーナ席キャパです。スポーツ競技時にはアスリートが躍動するフィールド全面に仮設座席やスタンディングエリアを敷き詰めることで、スタンド席に加えて1万人〜1万5,000人規模の動員枠を上乗せすることが物理的に可能となります。これが「国立競技場の最大キャパ」が約8万人と称されるからくりです。
ただし、イベントのジャンルによってグラウンドの使い方やステージの組み方が根本から異なるため、実際にスタジアム内へ入場できる観客数は用途ごとに大きく上下動します。