税制上はレシートが優位であるにもかかわらず、なぜ世間には依然として「領収書必須」の風潮が残っているのでしょうか。SNSや企業の現場経理担当者へのヒアリング取材を行うと、日本特有の社内ルールと心理的バイアスが浮かび上がってきます。
大手コミュニティや経理コミュニティの投稿では、次のような生々しい声が散見されます。
「税務署対策としてはレシートで100%問題ないのに、うちの経理部長は『社内規定で領収書じゃないと受け付けない』と突っぱねてくる。結局レジで店員を待たせて手書きを作らせる羽目になり、業務が非効率極まりない」
(都内IT企業・営業職のSNS投稿より) 「『品代』で切られた手書き領収書を持ってこられるのが一番困る。中身が分からないので現場に1件ずつ電話で確認しなければならず、むしろ印字レシートをそのまま提出してほしいのが経理の本音」
(製造業・経理実務担当者の手記より)
このギャップが生じる最大の原因は、昭和・平成期に作られた経費精算の会社ルールがアップデートされていない点にあります。「宛名=自社名が明記されていないと社員の不正精算を見抜けない」という組織的猜疑心や、形式主義を重んじる思考停止が、手書き領収書信仰を延命させているのです。