母親がそこまで強く警告した理由は、父親が命を落とした経緯そのものにあります。ピーターラビットの原作あらすじを紐解くと、ウサギ一家と人間の間にある逃れられない緊張関係が浮き彫りになります。
ピーターの父親はかつて、野菜を盗み食いするために農場主・マグレガーさんの畑へ忍び込みました。しかし運悪く見つかって捕獲され、そのまま命を奪われてしまいます。さらに捕まるだけでなく、マグレガー夫人の手によって「肉パイ(ウサギ肉のミートパイ)」として調理され、人間の食卓に並ぶという結末を迎えました。
母親の言いつけを守った聞き分けのよい妹たち(フロプシー、モプシー、カトンテール)がブラックベリーを摘みに森へ向かったのに対し、腕白で好奇心旺盛なピーターは忠告を無視してマグレガーさんの畑へ直行します。そこでレタスやサヤインゲンを貪り食ったピーターは、怒り狂ったマグレガーおじさんに発見され、父親と同じく「捕まったらパイにされる」という極限の逃走劇へと巻き込まれていくのです。