エルの凛とした気品と脆さを完璧に表現したのが、声優の喜多道枝だ。『フランダースの犬』のネロ役などで知られる喜多のハスキーで透明感ある声質は、軍務に従事するストイックな戦士としての顔と、時折見せる年相応の少年の弱さを絶妙なニュアンスで描き出した。
絶体絶命の窮地に陥った際のエルの叫びや、仲間を信じて通信を送る切迫したトーンは、観る者の胸を激しく揺さぶる。喜多の抑制の効いた演技プランがあったからこそ、エルは単なる「お助けキャラ」に留まらず、観客が自らの感情を投影できる等身大の英雄としてスクリーンに結実した。声優界のレジェンドによる渾身の息吹は、40年以上が経過した今も色褪せることはない。