海水塩分濃度はなぜ約3.5%?死海・日本近海の違いと起源を徹底解説

海水塩分濃度はなぜ約3.5%?死海・日本近海の違いと起源を徹底解説

海水塩分濃度はなぜ約3.5%?死海・日本近海の違いと起源を徹底解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

ここで一つの素朴な疑問が生じます。地球上の河川は、陸地の岩石や土壌を削りながら毎日膨大なミネラル・塩類を海へ運び続けています。蒸発するのは純粋な水(水蒸気)だけです。それならば、数億年、数十億年の歳月を経て「なぜ海水の塩分は無限に濃くならず、3.5%前後で保たれているのか」という疑問です。

この海水の塩分が増えない理由は、地球全体における「インプット(流入)」と「アウトプット(沈殿・除去)」が絶妙に釣り合う動的平衡状態(定常状態)にあるためです。海洋科学の研究により、海に入った塩類は以下の4つの経路で海水中から除去されていることが解明されています。

1. 海洋生物による骨格形成と沈降:
サンゴ、貝類、有孔虫や珪藻などのプランクトンが、海水中のカルシウムやケイ素、マグネシウムなどを取り込んで硬い殻(炭酸カルシウムなど)を作ります。生物が死ぬと遺骸が海底に堆積し、石灰岩などの地層となって塩類が海水から固定・除去されます。

2. 海底熱水鉱床・粘土鉱物への吸着:
中央海嶺などの海底火山活動(熱水噴出孔)において、海水が地殻内部を循環する際、玄武岩と化学反応を起こしてマグネシウムや硫酸イオンが岩石側へ取り込まれます。また、川から運ばれた粘土粒子が沈殿する際にナトリウムなどを吸着して海底に閉じ込めます。

3. 塩類堆積物(エバポライト)の隔離:
地質時代において、浅い内海や干潟が地殻変動で孤立し、干上がって岩塩層(エバポライト)として地中に封じ込められる現象が幾度も繰り返されてきました。

4. 海沫(シースプレー)による陸地への還元:
波頭が砕けた際に飛び散る微細な水滴(海沫粒子)が風に乗って陸地に運ばれ、雨とともに地表へ還元されます。

つまり海は単なる「塩の溜まり場」ではなく、地球のプレートテクトニクスや生物活動と連動した巨大な塩類リサイクルシステムの通過点にすぎません。ナトリウムイオンの平均滞留時間(レジデンスタイム)はおよそ5,000万〜1億年と極めて長いものの、流入と除去のペースが均衡しているため、濃度は一定の枠内に保たれているのです。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。