パニック障害や対人恐怖と闘いながらも、彼が生きる希望を取り戻した最大のきっかけは音楽の持つ底知れぬ力でした。
外出もままならず部屋でふさぎ込んでいた時期、彼を救ったのはハナ肇とクレイジーキャッツの植木等が歌う「だまって俺について来い」でした。歌詞の中にある「そのうちなんとかなるだろう」という無責任なまでの肯定感に触れた瞬間、張り詰めていた心の糸がふっと緩み、涙が止まらなくなったと後に明かしています。
「自分はこのままでもいいのかもしれない」――。音楽によって絶望の底から引き上げられた経験が、後に彼自身が「誰かの日常に寄り添うポップミュージック」を紡ぎ出す原動力となりました。