漢数字とは、文字通り数を表すために用いられる漢字の総称です。中国古代の殷(いん)の時代、亀の甲羅や牛の肩甲骨に刻まれた甲骨文字にその起源を持ち、日本には古代の漢字伝来とともに定着しました。大化の改新(645年)以降の律令国家形成期には、租税の記録や戸籍の編纂において不可欠な記録手段として確立された歴史があります。
日常的に広く普及している「算用数字(1, 2, 3...)」は、インドで誕生しアラビア世界を経由してヨーロッパへ広がった「アラビア数字」を指します。両者の最大の違いは、文字の構造と視覚的な役割にあります。算用数字が「数量や計算データの直接的把握」に特化した表意・計量記号であるのに対し、漢数字は「概念や語彙としての意味合い」を内包する表語文字としての性格を色濃く残しています。
漢数字には、私たちが普段使用する「一・二・三」のような日常表記(小字・普通数字)のほかに、改ざんを防ぐために画数を増やした「壱・弐・参」などの「大字(だいじ)」が存在します。さらに、位取り(十・百・千・万)を明記するか、単に数字を並べるかによっても表記体系が分かれるなど、算用数字にはない重層的な仕組みを持っています。