漢字「慶」の成り立ちは、文字の形と意味を組み合わせた会意兼形声文字です。古代文字(甲骨文字や金文)の構造を分解すると、上部が「鹿(しか)」、中央が「心」、下部が歩行や人の足跡を意味する「夊(すいにょう)」から構成されています。
古代中国の社会において、鹿の美しい毛皮は高貴な儀礼で用いられる最高級の贈り物でした。「慶」という文字は、貴重な鹿の皮を携え、心を込めて相手のもとへ歩いて祝いに駆けつける情景をそのまま象ったものです。
この情景から転じて、「めでたいこと」「祝う」「よろこび」「幸い」「善行への褒美」といった豊かな幸福を象徴する意味が定着しました。ただ単に楽しい感情を表すだけでなく、礼節を尽くして相手の幸福を言祝ぐという深い敬意が込められた文字です。