好酸球の過剰な増多状態を長期間にわたって放置すると、具体的にどのようなリスクが生じるのでしょうか。好酸球は顆粒の中に強力な細胞傷害性物質(主要塩基性タンパク:MBP、好酸球ペルオキシダーゼ:EPO、好酸球陽イオン性タンパク:ECPなど)を蓄えており、これらが無秩序に放出されると周囲の正常組織を破壊し、線維化を促進します。
放置によって生じる主な合併症と臓器障害は以下の通りです。
- 気道リモデリング(喘息の難治化):気管支壁の肥厚と線維化が進み、気管支拡張薬が効きにくい不可逆的な気道狭窄へと移行します。
- 不可逆的な嗅覚脱失・副鼻腔骨融解:好酸球性副鼻腔炎を放置すると、充満したポリープ(鼻茸)によって嗅裂が塞がれ、嗅神経が変性して手術を行っても匂いが永久に戻らなくなるリスクが高まります。
- 食道狭窄・食物嵌頓(好酸球性食道炎の進展):食道粘膜の慢性炎症が進行すると食道壁が硬化して狭窄を起こし、固形物が完全に喉に詰まって窒息の危機に直面する事故が発生します。
- 心筋障害・レフラー心内膜炎:好酸球増多症が高度に達した場合、心内膜や心筋に好酸球が浸潤して線維化を引き起こし、難治性の心不全や致死性不整脈、血栓塞栓症を誘発します。
- 不可逆的な末梢神経障害:EGPAなどの血管炎に伴う虚血性神経障害は、治療介入が遅れると足の垂れ下がりや手の運動麻痺といった後遺症を残すことになります。
これらの重篤な合併症は、早期に異常を察知してステロイド薬や分子標的薬(抗IL-5抗体製剤や抗IL-4/13抗体製剤など)による適切な介入を行うことで、十分に回避またはコントロールが可能です。早期発見・早期治療の価値が極めて高い領域と言えます。