映画制作を一つの「巡礼」として捉える巨匠が存在する。幼少期に聖職者を目指していた巨匠マルティン・スコセッシ監督は、長年にわたり人間の罪と贖罪を題材にし続けてきた。とりわけ遠藤周作の小説を映画化した『沈黙 -サイレンス』では、棄教を迫られる宣教師の苦悩と神の黙秘を極限の緊迫感で描写し、世界中の批評家を圧倒した。彼は単に信仰を讃えるのではなく、疑念や揺らぎを包み隠さず画面に焼き付けることで、普遍的な人間像を立ち上げている。
一方で、強烈な直観と圧倒的なビジュアル表現で観客の魂を揺さぶったのがメル・ギブソンだ。彼が手がけた『パッション』は、キリストの最後の日々を生々しいまでの描写で構築し、世界的な社会現象を起こした。世俗化が進むハリウッド映画界にあって、彼のような監督たちが生み出す宗教映画は、単なる娯楽作とは一線を画す異例の興行力と批評的波紋を広げ続けている。