1979年から2005年までの26年間にわたり、青いネコ型ロボットに命を吹き込み続けたのが大山のぶ代だ。彼女の「ぼくドラえもん」という一言は、当時の子供たちの心に深く刻み込まれた。しかし、当初の配役決定時には意外なエピソードがある。原作者である藤子・F・不二雄は、初めて大山の演技を聞いた際、「ドラえもんってこんな声をしてたんですね」と感嘆し、絶賛したという。
主役を取り巻くキャスト陣のチームワークも伝説的だ。のび太役を演じた小原乃梨子とのタッグは、単なる共演者の域を超えていた。アフレコ現場では互いの息遣いだけで次の掛け合いの間を計っていたという。小原が演じる情けないが心優しいのび太と、大山が演じる小言を言いながらも決して突き放さないドラえもん。この二人の掛け合いが生み出す絶妙な人間ドラマこそが、当時の子供たちに「絶対に自分を捨てない存在」という圧倒的な安心感を与えていたのだ。