何必館の中核を担うコレクションは、日本近現代美術史に確固たる足跡を残した3人の巨匠に集約されます。
まず特筆すべきは、前述した北大路魯山人の作品群です。織部、志野、備前などの陶芸から、豪快かつ繊細な書、漆芸に至るまで、生活の美を極限まで追求した魯山人の美意識が凝縮されています。「器は料理の着物」と喝破した魯山人の息遣いが伝わるような展示手法は、美術館関係者からも極めて高い評価を得ています。
さらに、近代日本画の孤高の画家・村上華岳と、洗練された花鳥画で知られる山口華楊のコレクションも見逃せません。世俗から離れ、仏画や幽玄な山水を描き続けた華岳の線描。そして、動物や植物の瑞々しい生命の瞬間を捉えた華楊の色彩。いずれも何必館の静謐な展示空間に溶け込み、鑑賞者の心の奥底に静かに沁み入る鑑賞体験をもたらします。