駿河太郎さんが俳優として頭角を現すまで、メディアで「笑福亭鶴瓶の息子」と公に語られることはほとんどありませんでした。これには、本人の並々ならぬ覚悟とプロ意識が存在していました。
芸能界において「大物タレントの二世」という看板は、知名度を得る上では有利に働く一方、作品や演技そのものを正当に評価されないという強いリスクを孕みます。駿河さんは「自分の力だけでどこまで通用するのかを試したい」「親の七光りで仕事をもらっても意味がない」という強い思いから、事務所のスタッフや現場関係者にも出自を明かさずにオーディションに挑み続けました。
世間にその名が広く知れ渡る決定打となったのが、2011年のNHK連続テレビ小説『カーネーション』です。ヒロイン・小原糸子の夫となる木之元勝役をオーディションで勝ち取り、不器用ながら愛情深い演技でお茶の間の涙を誘いました。このブレイクにより、実力で評価された後に「実はあの好青年の俳優は鶴瓶の息子だったのか」と世間を大いに驚かせることになったのです。
さらに2013年の社会現象ドラマ『半沢直樹』では、経営難に苦しむ老舗ホテル「伊勢島ホテル」の若き社長・湯浅威役を好演。重圧に立ち向かう誠実な役どころを見事に演じ切り、「鶴瓶の息子」という枕詞を完全に払拭し、一人の実力派俳優としての評価を不動のものとしました。