黒夢の原点は、1991年に岐阜県で結成されたインディーズ時代に遡ります。名古屋を中心に活動を展開していた当時の黒夢は、ダークで退廃的なゴシック・ロックを基調とし、シルバーフォックスのファーや妖艶なメイクでシーンを席巻。「名古屋系」と呼ばれるヴィジュアル系黎明期の一大潮流を牽引するカルト的カリスマとして君臨していました。
1994年、シングル「for dear」で待望のメジャーデビューを果たすと、彼らの歩みは既存のヴィジュアル系バンドの枠組みを次々と破壊していくことになります。シングル「BEAMS」がCMソングに起用されて全国的な知名度を獲得すると、黒夢はメイクを落とし、髪を短く刈り込み、荒々しいパンク/オルタナティブロックへと急激な舵を切りました。この変貌には当時のファンからも賛否が巻き起こりましたが、清春は一切の媚びを排し、自らの衝動をダイレクトに叩きつける道を選んだのです。
その後、「SEE YOU」「ピストル」「Like @ Angel」といったライブアンセムを連発。1997年のシングル「少年」や「MARIA」は、疾走するビートの中に清春特有の切なさと社会への違和感を内包し、当時の若者たちのバイブルとなりました。商業主義のレールに乗ることを激しく拒絶しながら、結果としてチャートの頂点へと駆け上がっていった軌跡は、日本のロック史においても極めて特異な輝きを放っています。