パナソニック汐留美術館が国内外の美術館関係者から極めて高い評価を受ける最大の理由は、フランスの画家ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault, 1871–1958)の本格的なコレクションを常設展示する専用ギャラリー「ルオー・ギャラリー」を備えている点にあります。同館が所蔵するルオー作品は約260点におよび、初期のアカデミックな習作から代表作『ミセリコルディア』、晩年の重厚な油彩画まで、画家の全画期を体系的に網羅しています。
ルオーの絵画は、ステンドグラス職人の見習いとして培った黒く太い輪郭線と、幾層にも塗り重ねられた輝くような絵具層(マティエール)が特徴です。同館では、パナソニックの最先端LED照明技術「美ルック」などを駆使し、絵具の微細な凹凸や深みのある青・赤の色彩を損なうことなく、作者が意図した本来の明暗対比を忠実に再現しています。大空間で眺める大作とは異なり、作品と鑑賞者の距離が近く設定されているため、筆跡や絵具の隆起を間近で観察できる贅沢な環境が整っています。
また、同館のもう一つの柱である「建築・住まい・デザイン」をテーマにした企画展も独自色を放っています。アーツ&クラフツ運動やバウハウス、北欧デザイン、日本の近現代陶芸や漆工芸など、生活空間を美しく彩る造形美に焦点を当てた展示構成は、デザイン関係者や建築ファンからも絶大な支持を獲得しています。