1990年代半ば、菅野美穂はすでに若手演技派としての地位を確立しつつあった。特に1996年に主演を務めたテレビドラマ『イグアナの娘』で見せた繊細かつ鬼気迫る演技は、視聴者の心を強く揺さぶり、彼女の存在を唯一無二のものにした。母親からの歪んだ愛に苦悩する少女を演じきった彼女は、単なるアイドル女優の領域を軽やかに飛び越えていたのだ。
そんなキャリアの絶頂期、成人の節目に発表されたのが『NUDITY』だった。前触れもなく突如として世に放たれた一冊は、日本中の書店に長蛇の列を作らせ、瞬く間にベストセラーチャートを席巻した。清純派のイメージを自ら打ち破り、むき出しの表現者として勝負を挑んだ彼女の覚悟は、当時の大衆に鮮烈なショックを与えた。
予定調和を嫌い、自らの身体性を極限まで作品へ昇華させる。その果敢な姿勢は、その後の彼女の女優人生を決定づける揺るぎない礎となった。