ハリウッドの第一線で異彩を放ち続けるクエンティン・タランティーノもまた、名前に異常なまでのこだわりを注ぐ異能のオタクだ。彼の作品に登場する人物名は、過去のカルト映画へのオマージュでありながら、物語の破滅的結末を予兆するコードとして機能している。ワーナー・ブラザースをはじめとする大手スタジオのメガヒット作でも、この命名による伏線回収は定石となった。
観客が意識すらしていないキャラクターの姓やミドルネームに、実は最大のネタバレが隠されているケースは少なくない。ハリウッドのトップランナーたちは、言葉の響き一つで観客の心理を自在にコントロールしている。