ロンドンの地下クラブ、あるいはロサンゼルスの深夜のラジオ。流れてくるのは、流暢な日本語のボーカルと、重厚な生ブラスセクションが織りなす圧倒的なファンクサウンドだ。シティーポップの世界的ブームが一段落した2026年、グローバルな音楽ディグラーたちの視線は、よりアグレッシブで歌唱表現の尖った「82年産アイドル歌謡」へと明確にシフトしている。
TikTokでは、中森明菜のデビュー初期のライブ映像や、小泉今日子の80年代半ばのファッションスタイルを短尺動画に再編集した投稿が爆発的な再生数を稼ぎ出す。「CGやオートチューンが一切存在しない時代の、生々しい声の響きと眼光に鳥肌が立つ」――SNSには英語やスペイン語、アラビア語のコメントが溢れる。かつて日本国内のテレビ画面を彩っていたお茶の間のアイドルたちが、2026年代半ばのデジタルネイティブにとって「未発見の最高峰オルタナティブ・ポップ」として受容されているのだ。